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高野医師のブログ
【第43回 日本美容外科学会(JSAPS) 福岡】
「美容外科手術によって生じた下眼瞼後退の修正術」
たれ目形成、下眼瞼下制術、グラマラスライン形成の修正手術、三白眼の修正術をメインにした内容で発表しました
抄録
【目的】下眼瞼後退は、美容外科手術の合併症として生じるだけでなく、希望に合わせて下眼瞼を後退させる下眼瞼下制術の結果としても生じる。しかし、後退した下眼瞼を元に戻すことを希望された場合、一つの術式のみでは戻すことが困難で修正に苦慮する症例が存在する。我々は、このような症例に対して複数の手術を組み合わせて修正手術を行ってきたため術式の選択について検討し報告する。
【方法】2018年7月から2020年6月までの2年の間、前勤務先であるプリモ麻布十番クリニックにて治療を行った12例を対象とした。症例によって、瘢痕の十分な剥離、硬口蓋粘膜移植、外眼角固定、midfaceliftの方法を適宜組み合わせて修正を行った。
【結果】12例はすべて女性であり、平均年齢は24.7歳(19歳から37歳)、平均経過観察期間は3.2か月(2週から8か月)であった。原因となった手術の内訳は、下眼瞼下制術が11例、下眼瞼脱脂術が1例であった。全例が最終的に希望位置まで改善したが、十分な剥離のみを行った症例は4例、剥離に加えて、硬口蓋粘膜移植を行った症例は6例、剥離に加えて、硬口蓋粘膜移植、midfaceliftを行った症例は2例だった。8例で外眼角固定を併用した。
【考察】下眼瞼後退の治療にあたっては、前葉、中葉、後葉の問題(特に組織の不足の有無)を把握しそれぞれにアプローチすることが重要であると考える。組織の不足が軽度である症例では十分な剥離操作のみで改善できる場合もあるが、不足が高度の場合は、組織を補い後戻りを防ぐ必要がある。今回、前葉の不足がある症例に対しては、整容面を考慮してmidfaceliftを利用し頬部皮弁により皮膚の不足を補い、後葉の不足がある症例に対しては、硬口蓋粘膜移植を行った。また、できるだけ過矯正とならないように配慮しながら、後戻りを予防する目的で外眼角固定も行った。下眼瞼後退を治療するにあたり、状態に適した複数の手術を組み合わせて治療を行うことは有効であると考えられた。
補足
形成外科医時代に、顔面神経麻痺による外反、老人性眼瞼内反、その他外傷、熱傷瘢痕拘縮による眼瞼外反、悪性腫瘍の再建など多くの下眼瞼の内反、外反を伴う位置異常、下眼瞼後退の治療を経験することができました
しかし、保険医療で行う下眼瞼後退治療と美容医療で行う下眼瞼後退の治療では、患者層や背景が異なり目指すゴールが異なります
美容医療では、後退、内反、外反を改善するだけでなく、希望の形態に近づける必要があります
その観点からは、私自身、形成外科医時代に多用してきた方法であるlateral tarsal stripを代表とした外眼角形成、Kuhnt-Szymanowski法(Smith変法)、耳介軟骨移植による吊り上げなどの強固な固定は望まれる形態の再現は難しいと考えています
下眼瞼外側の勾配が急となるいわゆる「つりめ」になりやすく、また固定力が強すぎて自然な表情から遠ざかると考えられるからです
今回、美容医療で行う下眼瞼後退治療において、適した術式の選択とその矯正の程度について検討しました
症状の改善だけでなく、美容的な要望を満たす修正を目指すことはとてもチャレンジングですがやりがいを感じます
形成外科医としての経験を生かした美容医療を追求していきたいです
高野敏郎
大学病院を中心として、顔面の様々な疾患に対する高度な診療に10年以上専念しました。
美容外科を専門としてからは、その経験と技術を土台として、まぶた、鼻、そして他院修正手術に力を入れて取り組んでまいりました。
あなたのご希望に寄り添ったうえで、私自身の感性を生かしつつ、デザイン、バランスにこだわる手術を心がけています。
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